瞳の中には君が居て



毎週火曜日。


「先輩っ、帰ろ?」
「…ごめん。バイトなんだ…ごめんね」

桃は必ず一緒に帰れない。
だけど俺は分かっていて誘う。

「いいよ!頑張ってね」
「……うん…じゃあまたね…」



本当のことを言ってほしいから。
桃はバイトなんてしていない。



そう、あれははじめて桃の家に行ったときだった。



『…おじゃまします』
『いいよ、上がって』

言われるまま、靴をぬいでスリッパをはいた。

『あら~、いらっしゃーい!』
『!?』




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