瞳の中には君が居て



高い声にびっくりした俺は思わず顔をあげた。

『もう、お母さん!やめてよ』
『ごめんね~あっ、リビングへどうぞっ』
『……あ…おじゃまします…』


桃のお母さんは笑顔でリビングに通してくれた。


『甘いものとか好き?ケーキがあるの』
『…あっ…はい…大丈夫です』
『はい、海くん』


桃のお母さんは俺にケーキを、桃は紅茶をいれてくれた。


『じゃああたし、着替えてくるね』


桃はそういって部屋をでて行った。


『……海斗、くん?』

コーヒーの入ったカップを飲みながらおばさんは言った。

『…あ…はい…』

俺は顔をあげて答える。

『ありがとうね、あの子と付き合ってくれて』
『いえ。僕にはもったいないくらいですよ』


俺は笑って、紅茶のカップをおいた。


『………でもあの子はどうも心配性でね。バイトくらいはしてほしいもんだね』

『………え…』


俺は頭が真っ白になった。
桃はバイトって言って帰っていく。
あれは何なの?




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