瞳の中には君が居て
『……………っ』
思考回路停止中。
俺はケーキのフォークを持ったまま固まった。
『…………海斗くん?』
『…………え?』
俺はおばさんの呼びかけにやっと我にかえった。
『どうかしたの?……あ、もしかしてケーキがまずかったとか?』
『いえ!苺のタルトすきですよ』
『そう?ならよかったわ!』
俺はタルトを一口食べながら微笑んだ。
タルトの味は…よくわからなかった。
するとリビングの扉が開いて桃が入ってきた。
『あっ、ケーキ!』
桃は俺のタルトをみて思い出したのかケーキを催促しはじめた。
おばさんは呆れ顔で、
『はいはい。桃のは冷蔵庫にあるわよ。持ってらっしゃい?紅茶いれといてあげるから』
といって、ポットに入っている紅茶を新しいカップにいれた。
『はあい♪』
軽い足どりで冷蔵庫へ向かう、桃。
『チョコレート食べる♪』
『はい、紅茶』
桃は箱のなかからチョコレートケーキをひとつ出すと紅茶を一口飲んでからチョコレートケーキを食べはじめた。