瞳の中には君が居て



…………え……?


「……いつも…むりしてばっかや…」


悔しそうにあたしの目をゴシゴシとふいた。
ほかのメンバーそれぞれ雑談をはじめた。


「……………ゆき…」


あたしが言いかけたそのとき、人数ぶんのグラスを持った海斗がやってきた。
コップに麦茶を注いでゆきに差し出す。


「ゆき、麦茶!」
「……………おう」
「先輩は何飲む?」
「……ぁ……じゃぁ、オレンジジュース………」


了解、と言って透明なコップに鮮やかなオレンジ色のジュースを注ぐと、ほかのメンバーに飲み物を配りにいった。



「……………心」
「……………?」


「……………心……俺な…」


静かに口を動かす。
ざわめきが少し遠くで聞こえた気がした…


――俺……飛べないんだ…




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