瞳の中には君が居て



「…………あたし…目の前が真っ暗になったよ…また…大切なひとを失ったって」
「…………うん」
「………でも、これのおかげでゆきを信じていられたよ」


あたしは左手のピンキーリングをみせた。


「…………してくれてたん?」



当たり前でしょ、って言うかわりにあたしは笑った。


「……ありがとうな…」


コツンと頭を当てて微笑むゆき。


……夢みたい…
ゆきに会えるなんて。


「……………心。そろそろ家帰るか?」

そんな質問を無視し、聞きたいことを聞いていく。

「どうして居なくなったの?」


あたしが言うとちょっと考えてからゆきは言った。


「……………親父の都合で、ちょっとな」
「一言いってくれれば……」
「急でさ…ごめんなぁ」


笑ってあたしを抱きしめるゆき。



………幸せ。



< 184 / 193 >

この作品をシェア

pagetop