瞳の中には君が居て
「…………あたし…目の前が真っ暗になったよ…また…大切なひとを失ったって」
「…………うん」
「………でも、これのおかげでゆきを信じていられたよ」
あたしは左手のピンキーリングをみせた。
「…………してくれてたん?」
当たり前でしょ、って言うかわりにあたしは笑った。
「……ありがとうな…」
コツンと頭を当てて微笑むゆき。
……夢みたい…
ゆきに会えるなんて。
「……………心。そろそろ家帰るか?」
そんな質問を無視し、聞きたいことを聞いていく。
「どうして居なくなったの?」
あたしが言うとちょっと考えてからゆきは言った。
「……………親父の都合で、ちょっとな」
「一言いってくれれば……」
「急でさ…ごめんなぁ」
笑ってあたしを抱きしめるゆき。
………幸せ。