瞳の中には君が居て
あたしはメールを削除するとそのまま屋上をあとにした。
「……空星さん!」
ばたばたとやってきた足音。
あたしは思わず振り向いた。
そこには子犬のような笑顔をした、あなたがいました。
「……………」
「空星さんっ、俺、となりのクラスの青木竜心(アオキリュウシン)よろしくな!」
「…………はぁ………」
あたしの手を握ってぶんぶんと振り回す彼に、完璧振り回されるあたし。
「……やった…」
「……………?」
「空星さんがしゃべってくれたっ」
にこっと笑って彼は言った。
そんな彼の素直さにはあたしまでもが素直になってしまいそうだ。
「俺と友達になって!」
「…………うん。」
「やったぁ、ありがとう!クラスいくね!」
「…………うん……」
「じゃ、俺いくね。またね~」
笑顔で手をふって去っていく彼はきらきらと光っているような錯覚に陥るほどだ。