瞳の中には君が居て



「……………俺も……」
「………え…………?」
「…むりやり…入らされた…」

そう言って穂積ゆきはレジへ歩いていった。

「………………」

それを黙ってみているあたし。

「…何してんの…レジうち…教えるから。」

振り返ってあたしをみる穂積ゆき。

「………………うん。」

あたしは穂積ゆきに細かくレジうちや接客などを教えてもらった。

夕方になり、あたしをスカウトした彼女が上がっていいよ、と言った。

あたしはシーグラスのコーナーをみてまわる。

「…………これ……」

あたしはひとつのピアスを手にとると、レジへむかった。

あたしが選んだピアスは水色の透き通るようなピアス。
あたしが今しているネックレスとお揃いだった。
このネックレスは幼いころ、おかあさんからもらった、唯一のプレゼントだ。

だから大切に使っている
だけど、そろそろ捨てようかな―…

「……………空星…」

あたしがピアスを買って外に出ると、穂積ゆきがいた。

「……穂積………どうしたの。」

「……暗いから……送るよ。」

そう言ってあたしの前を穂積ゆきは歩いた。




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