瞳の中には君が居て
穂積ゆきはあたしを家まで送ると、「じゃあな」と言って去っていった。
ガララララ…
「………………」
「おかえりなさい。心ちゃん。」
「………ただいま。」
あたしが玄関の戸をあけると、笑顔で迎えてくれるおばあちゃん。
「ご飯食べてきたの?」
「…ううん…」
「じゃ、あっためて食べようね。」
「…え…っ…」
にこっと笑っておばあちゃんはキッチンにはいっていった。
そんなおばあちゃんをあたしは急いで追う。
「おばあちゃん…っ…」
「え…?」
「いいよ…っ…悪いし…おばあちゃんお風呂入ったんでしょ?」
あたしはおばあちゃんの腕を掴んだ。
「え…っ…そうよ?」
「…わざわざ作ったら…汚れちゃうじゃん……」
だんだん小さくなっていく声。
そんなあたしを見て、きょとんとするおばあちゃん。
そして嬉しそうにクスクスと笑った。
「…ありがとう…でも、温めるだけだから。ありがとうね…」
おばあちゃんは笑顔で言うと、その日の夕食を温めてくれた。