瞳の中には君が居て
今日の夕食は和風ハンバーグだった。
ハンバーグはあたしの中で唯一思い出がある食べ物。
…お母さんが唯一作ってくれた料理。
あたしはそれを黙って見つめた。
「……心ちゃん?」
「えっ…」
「どうしたの?」
「…ううん…いただきます。」
あたしはハンバーグを一口サイズにして、口にいれた。
じゅわっとおばあちゃんの優しさが広がる。
あたしは無言でハンバーグを食べ終え、食器を下げる。
「……おばあちゃん…」
あたしは食器を洗っているおばあちゃんに声をかけた。
「ん?」
優しく振り向いたおばあちゃん。
―…でもあたしは、苦しかった。
「………もうあのハンバーグ作らないで……!」
あたしは初めておばあちゃんに向かって強気で言った。