瞳の中には君が居て






……


…………



「…もう大丈夫だよ。」


優しくあたしの頭を撫でる手。


「…泣かないで…」

「……りゅ…しん…っ」


あたしは無意識に竜心に電話をしていたようだ。
だから竜心は授業を抜け出してまでここにいる。


「…ごめ…っ…竜心…」
「いいよ!…はやく泣き止んで…?」


竜心はあたしの涙を学ランの袖でぐいっとふく。

「…空星さん…大丈夫だよ。おばあさん、元気になるからね。」

竜心はあたしの頭を撫でながら言った。

竜心はこう見えても医者になりたいようで、頭がいいらしい。
だからこういう時もテキパキと対応してくれた。
普段の彼からは想像も出来ない姿だ。


「…ありがとう……」

「…うん……!」


竜心は笑顔になって。


あたしも思わず笑顔になった。




< 48 / 193 >

この作品をシェア

pagetop