瞳の中には君が居て
竜心がクラスメイトの間をかきわけてやってきた。
「お前ら、集団でしゃべりかけんなよ!空星さん、めっちゃ逃げようとしてるだろ!」
竜心はあたしのまえに立って言う。
「何だよ、竜心。んな言わなくても気をつけるっつーんだよ!」
そう言って竜心とクラスメイトがじゃれあいだした。
「やーめーろーっ」
「やーめーねーよっ」
あたしは呆然とその光景をみていた。
「……………」
あたしが何も言えないでいると、そんなあたしをみかねて竜心のクラスメイトの女子が叱った。
「コラ!アンタたちやめなさいよ!空星さん困ってんじゃん!」
その一言で竜心とクラスメイトはじゃれあうのをピタッとやめた。
「全く…竜心がやめろって言ったのに竜心がやってどうすんのよ!しっかりしなさいよ!」
そのこはちょっとあきれた感じで竜心に言った。
「ごめんごめん!怒んなって!未来(ミク)!」
それをみた竜心はあわてて謝った。
謝る竜心をそのこは無視してあたしのほうに向き合った。
「空星さん…だよね?」
「…………………」
あたしはそのこをじっとみたあと、コクンと頷いた。
「あたし、海風未来。(ウミカゼ)よろしくね…」
あたしは彼女が差し出した手を冷たく睨んだ。
どうせ、あんたも上辺でしょ?
そういうの、うざいからねー?
そうおもった途端、目が冷たくなっていくのをあたし自身も感じた。
まわりはゴクン息をのむ。
それを見かねた竜心はあわててフォローにはいった。
「未来!空星さんは信用してるやつにしかしゃべ…」
竜心のフォローを遮ってはなし続ける彼女。
「知ってるよ。」
「は!?だからはなしかけても…」
「だから、すきなの。」