瞳の中には君が居て



チカッと…
白い部屋に照明が目に入る。
うっすらと少しずつ目を開いていく。

「空星!!」


あまりの声の大きさにあたしの目は見開かれた。

視界に入ったのは…
心配そうに覗き込んでいる穂積ゆき。


「…ほ……づ…み…ゆ…き……?」


「そ……ら……ほ…し…っ…!」


穂積ゆきはあたしを呼んだかと思うと、次の瞬間あたしを抱きしめた。


「………!?」
「……ば……か…」


振り絞ったような声で穂積は言ってあたしを抱きしめる腕を強めた。

「…ほ…づみ…?」
「…………ばか!」


ばかという言葉にからだが勝手にビクッとなる。


…お母さんが怒るとき、必ずあたしに怒鳴ってきた言葉だったからだ。


「………や……っ……!」


「…空星…?」


「………ぃ…っ…や……っ!」


フラッシュバックする記憶。


殴る父親と殴られる母親。


あたしを殴るお母さん。
お母さんに殴られるお母さん。


お酒をのんで…




雷がなる、あの日…




雨がひどいあの日…




お母さんがあたしは…




あたしは……!




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