瞳の中には君が居て
「俺だよ!穂積ゆきだ!」
「やめて!!」
優しい穂積の声も、いまのあたしには届かない。
「空星!」
「いや!」
あたしは伸ばしてくる、穂積の手を振り払った。
「………………っ」
あたしはまだ過去にいて、ガタガタ震えていた。
「……心……」
……………え………?
優しい声にあたしの震えは止まって、穂積の腕はあたしの腰にまわっていた。
「……………心。」
あたしの耳にはお母さんの声じゃなくて、優しい穂積の声が入った。
「……ほ……づみ…………?」
「……そうだよ…ゆき……俺には…お前だけだよ…捨てたりしない。乱暴もしないよ…」
普段は無口な彼があたしに優しく、言葉をかける。
「………づみ……」
「……ゆき。」
「……ゆき…」