瞳の中には君が居て



そのあとは担任が自己紹介していった。


名前はめぐこ。
32才、いまは独身。
バツイチで子どもがふたり。


あたしは聞いているフリをしながら、机のなかでお母さんからもらった、おばあちゃんの住所が書いてあるメモを見ていた


住所をみるとここから歩いて15分くらいだ。


荷物はすでに送ってあるらしい。


穂積ゆきは相変わらず窓の外だけをしっかりとみている。


穂積ゆきはあたしと似ている―…
そう直感した。



様々なプリント類が配られ、ずっしり重くなっていくカバン。


教科書はぜんぶ置いていく。


帰りのホームルームがおわり、カバンをもって出ていこうとすると、担任によばれた。


「穂積くん、星空さん。職員室まできなさい!」


もちろん、サボる。
そうおもったが思い出したように言われた。


「あ、そうそう。サボったら数学の単位、あげないからね。じゃあ、待ってます。」


にこっと笑うとめぐこは出ていった。





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