瞳の中には君が居て
未来がはなしだす。
あたしが刺されたあのあとを。
「……穂積から聞いただけだけど…」
バンッ
『心!』
扉を開けた瞬間―…
もう心は倒れていた。
『………心…!』
俺は心に駆け寄って息があるかを確かめた。
……よかった…
息はある。
『………オイ、アンタ!何してんだよ!!』
俺は心を抱いたまま聞く。
『……ふ…っ…あはは…っ…』
『……アンタ…心の母親…?』
そう笑ってまだ心を刺そうとする心の母親。
俺はとっさに心をかばった。
切り裂かれた学ラン。
血が流れる頬。
『………………っ…』
『………あは…っ…あはは…!』
笑いながらナイフを落とす母親。
『…バカね…心…あたしを刺せばよかったのに…せっかくナイフ、渡してあげたのに…』
心の足元を見ると、果物ナイフが落ちていた。
だけどそれは使った形跡どころか拾った形跡もない。
『……………アンタを愛してたからだろ!?』
『…………………』
『………何で……心は…こんなヤツに……』
『………だからよ……』