瞳の中には君が居て
進級
―…ゆきがいなくなってもう一年がたつ。
あたしは二年に進級していた。
さくらが舞う。
ゆきと出会ったのも…
こんな日だった。
「心ー!」
「竜心…」
竜心はあたしのところまで走ってくる。
「…はあ…っ心おはよ!」
「おはよう…」
あたしの左手にはゆきがくれたピンキーリングが輝く。
右手には竜心がくれたペアリングが輝く。
あたしと竜心は恋人同士。
あの日、竜心から告白された。
あたしも竜心のことが大好きだったし、竜心なら信じれると思って付き合った。
「心?何みてんの?」
「んーん…さくらをみてたの…」
「そっか。綺麗だよね!さくら!」
「………………」
さくらは綺麗だけどかわいそう。
だって…散っていってしまうから。
あたしの心は…
あの日のままだったのに。
気付かなかった。