もしも…
「バーカっ!」
「うっさいわアホー!」
弘俊の子供っぽい言葉に、
私もムキになって子供のように言葉を返す。
……まぁ、実際に子供だけどね。
でもね、
いつか伝えられたらいいな。
『大好きだよ』って。
『私だって、弘俊がいなくなるなんて無理だよ』って。
クシュンッ
小さなくしゃみの音。
あいつは何事もなかったみたいに隠そうとしてるのかもだけど、
わかるよ。
弘俊だって寒いんでしょ?
もしさっきのクシャミの音聞こえてなくても、あんたのその真っ赤な鼻とほっぺ見ればわかるから。
「弘俊。」
私が呼ぶとこっちを向く。
「これ返す。もう大丈夫だから。
ありがとう。」
そう言ってマフラーを
差し出す。
「何言ってんだよ。ほんとはまだ寒いんだろ。俺、必要ないから。寒くないから。いらない。」
無理しやがって…。
でも、ありがとう。
あんたのその下手くそな嘘、
大好きだよ。
…ほんとに好き。大好き。