「あれもこれも大掃除。」
疲れも出てきていてもう既に昼になっている。
彼女は今頃、昼食を食べているのだろう。友人と一緒に仲良くしているのだろう。
それなのに、自分は掃除をしている。
なんという不運。
なんという悲運。
なんというゴミの山。
とにかく掃除を進めるしかない。
それに、あと残っているのはクローゼットの中だけだ。整理してしまえばこちらのもの、捨ててしまえばいいのだ。
洋服を畳んで捨てようとしたときだった。彼女が普段は着ることのない洋服から封筒が出てきたのだった。
こぼれ落ちるようにして出てきたそれを拾い上げて見る。
中には二十万円入っていた。そして、その金額には覚えがあった。
「あの野郎、パソコン買うとか言って俺から…………」
しかし、これもまた掃除の醍醐味。ありがたく頂戴すると財布にねじ込むのだった。
なおも掃除をしていると、ちょくちょく借りられていたお金がわんさか出てきていた。
「俺ってなに、金づる?」