「あれもこれも大掃除。」
「ただいまー」
「ありさ……」
「ねぇねぇ!」
「いや、その前に……」
「ほら、ヤスのぶんもおみくじー!」
ついつい開けてしまう。すると。
「大凶じゃねえか」
「あたし大吉!」
「なんでだよ……なんでだよ神様……」
「見せて!」
力なく手渡す御神籤を見て、彼女がにんまりと笑っている。
色々なことが書かれているのだろうが、彼には分かっていた。
彼女のおみくじに書かれている恋愛運は超大凶クラスだということを。
彼が何か言う前に彼女のほうが先に口を開く。
「やす、掃除が吉だって!」
「…………はぁ?」
「あと、彼女を大切に、だってさ!」
疑って見てみると、本当にそう書かれている。そして。
彼女の本当の「悪魔の微笑み」の理由を知る。
「クローゼットも掃除したよね?」
「いやいやいやいやいや。してねえよ」
「じゃあ財布見せてよ」
「………………」