「あれもこれも大掃除。」

彼女がにこにこと、どす黒い雰囲気で近づいてくる。にじり寄ってくる。

諦めて財布を渡した彼。

財布のボタンが外された音がして、彼女が黄色い嬌声(きょうせい)をあげる。

「すごー!」

「そうだな……」

「こんなに貯め込んだんだ、あたし!」

「俺から搾りとったんだろ……」

「一緒にご飯食べにいこう、あたしね、金運すごくよかったの!」

彼はもう一度恋愛運の部分を見てみた。

何度読み返しても彼女を大切に、と書かれている。

ため息をついて彼は彼女の後をついていくことにしたのだった。

どこまでもついていくしかないのか、と思うと笑えてくる。


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