雪のサクラ
引っ越しをした。
前に住んでいたところは日当たりも良く、野良ネコと戯れたり、ゴミをあさるカラスと激闘を繰り広げたり。
なんだかんだ言って楽しかったけど。
家賃を滞納しすぎて大家さんに追い出されてしまった。
「ふんっ」
いいんだ別に。あんなボロアパート。
お隣さんいないのに話し声するし
反対側のお隣さんはなんか毎日夜エロい声するし、
大家さん頭眩しかったし。
いいんだ別に。後悔なんてしてないんだ。
あと二年は住もうと予定立ててたけど………いいんだ別に。
なんか、ダメだなぁ…自分。
テーブルの上にあるケータイ電話に手を伸ばす。
落ち込んだ気持ちを消すために
なんとなく彼の声が聞きたくなった。
「もしもし…ソラ?」
すぐに繋がった電話。
突然迷惑だったかな、なんて
ちょっと後悔した。
『俺以外に誰と電話してんだよ。ある意味心霊現象だろそれ』
いつもと変わらない、愛しい声。