If not...
「わかったわ。」
声の応えに、イールは半信半疑の嬉しさが込み上げた。
しかし…
声は続けた。
「ただし、今の願いの内1つは叶わないわ。」
「えっ?どういうこと?」
「どれか1つを犠牲にしなければ、他の願いも叶わないの。」
女の子の声音は、至って平静だ。
「さあ、どれを犠牲にする?」
「そんな…。」
イールは考えた。
悩んだ。
家族に会いたい。
でも、サーシャのような子をもう見たくない。
でもでも、家族に会えなくなる。
でもでもでも、サーシャが…
でもでもでもでも……