If not...





ふわふわ浮いている。



真っ白な世界。

上も下もない。




永遠にここをさ迷うのだろうか…


それとも、このまま地獄に流されてしまうのだろうか?




サーシャは不安に思った。




嫌だ。

その前に、もう1度イールに会いたい。



“ありがとう”も“ごめんね”も伝えていないのに。


心の奥に芽生えていた小さな気持ちも…





上と下も分からない場所で、サーシャは手を組んだ。


そして、祈った。


イールに会いたいと、強く願った。




「願い…叶えて欲しい?」




ふいに聞こえた女の子の声に、サーシャは目を開いた。

ここに自分以外の人がいたのかと嬉しくなった。



が、違った。


しかし、声だけは確かに聞こえていた。




「誰?どこにいるの?」




辺りを注意深く見渡すが、やはり誰もいない。




「私はホープ。肉体がないから、あなたには見えないわ。」




< 13 / 30 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop