If not...
ふわふわ浮いている。
真っ白な世界。
上も下もない。
永遠にここをさ迷うのだろうか…
それとも、このまま地獄に流されてしまうのだろうか?
サーシャは不安に思った。
嫌だ。
その前に、もう1度イールに会いたい。
“ありがとう”も“ごめんね”も伝えていないのに。
心の奥に芽生えていた小さな気持ちも…
上と下も分からない場所で、サーシャは手を組んだ。
そして、祈った。
イールに会いたいと、強く願った。
「願い…叶えて欲しい?」
ふいに聞こえた女の子の声に、サーシャは目を開いた。
ここに自分以外の人がいたのかと嬉しくなった。
が、違った。
しかし、声だけは確かに聞こえていた。
「誰?どこにいるの?」
辺りを注意深く見渡すが、やはり誰もいない。
「私はホープ。肉体がないから、あなたには見えないわ。」