If not...
「それで全て?」
「うん。」
サーシャが肯定を示すと、ホープは再び問い掛けた。
「お別れを言うだけ?生き返らなくてもいいの?」
こんな人間は初めてだった。
ホープが見てきた限りでだが。
たいてい、この辺りを浮遊している人間は“生き返らせてくれ”と願うのだが…
しかし、サーシャは変わらず首を縦に振る。
「生き返らなくてもいい。」
ホープは驚きを隠せなかった。
「なぜ?もっと生きたくはないの?」
すると、サーシャは困ったように笑った。
「そりゃあ、もっと生きてみたかったけど…。」
イールの事を考えて、泣きそうになった。
無理矢理の笑顔で、なんとか乗り切る。
「だけど、死んだら生き返っちゃいけないと思う。自然の流れには逆らいたくないの。きっと、これが私の寿命だったんだよ。」
苦しそうな笑顔に、しばらくホープの返事は無かった。