If not...
「もう叶っているからよ。」
その言葉に、サーシャは安堵した。
同時に、心が温まった。
私以外にも、世界を真剣に見つめていた人がいたんだ…
「誰の願いだったの?」
その人の名前を、心にしっかり刻みたいとサーシャは思った。
「あなたが会いたい人。」
ホープの曖昧な返事でも、サーシャの心は跳びはねた。
「…イール?」
「そう。彼は、自分の家族との再会を断念して、世界の平和を願ったの。」
ホープの話で、サーシャの心は一気に冷めた。
「そんな…。それじゃあ、イールはもう家族と会えないの?」
「そういうことになるわね。」
イールが…
「彼はこう思っていたみたい。“サーシャのような子をもう見たくない”って。」
ホープの言葉に、次々と涙が溢れてきた。