If not...
「願い…叶えて欲しい?」
目の前にいる子供に、問い掛けた。
あちらは私が見えていないから、目が合うことはない。
いつものこと。
いつものことだわ。
「お金、欲しい!」
願いというと、やっぱり1つしか出さないのね。
本当はもっとあるでしょうに。
人間って、そういうものだもの。
そう思いながら、話す。
「他にも願いがあるでしょ?全部言ってみて?」
しかし、例外はあるみたい。
子供がう~んと頭を捻る。
「お金あれば、みんな助かる。他…あるかな…?」
この子の村は、貧乏で食べ物にも困っている。
だから、お金でみんなを助けてあげたいと思ったらしい。
「ないの?」
「う~ん…?」
困ったわ。
せめて2つは挙げてもらわないと…
捨てる選択肢ができないじゃない。