If not...
その時だった。
「願い…叶えて欲しい?」
女の子の優しい声が聞こえた。
しかし、このクラス内で自分に話し掛ける者などいない。
不思議に思って周りを見る。
「姿はないの。声だけ。」
声は、クスクスと楽しそうに笑った。
「ねぇ?貴方の願い、叶えてあげましょうか?」
「僕の…願い?」
「そう。叶えたい願いがあるんでしょ?」
見透かしたような声。
ウォレスは半信半疑だ。
しかし、願いを言うだけならば損はない。
「もしも願いを1つ叶えてくれるなら…」
「ちょっと待って。」
女の子の声が、ウォレスの声を遮った。
ウォレスは、気が変わったのかと不安になる。
「誰も1つとは言ってないでしょ?」
「えっ?それじゃあ…」
「叶えたい願いを全部言ってみて。」
その言葉に、ウォレスの表情が明るくなった。