If not...
「さぁ、どうする?どの願いを犠牲にする?」
急かすような声。
どこか楽しんでいるようにさえ聞こえる。
ウォレスは考えた。
虐めた奴らか、見ていただけの奴らか、家族か、誰に復讐か…
誰よりも強い力か…
ウォレスの頭の中では、ある光景が思い出されていた。
蹴られ、殴られ、疼くまり、それでも殴られ…
水をかけられ、ロッカーに閉じ込められ、雑巾で顔を拭かれ…
惨めな過去が浮かんでいた。
ウォレスはぎゅっと拳を作った。
「決めた。」
ゆっくりと顔を上げる。
怒りに満ちた顔を。
「力は諦める。だけど、僕をここまで追いやった奴らには復讐してやる!」
特に虐めた奴らには、罪を償わせなければ気が済まなかった。
「それでいいのね?」
頷くウォレス。
心が闇に呑まれてしまっていた。
女の子の声は相変わらず無機質だった。
「奴らに復讐を…。」
そう言うと、ウォレスは手を組んで祈った。
黒い連鎖に終わりなど無いというのに…