If not...



イールは願った。


星が瞬く夜の下で。


膝を着き、手を組んで願った。




毎夜続けているこの祈り。

やはり意味が無いのかと、テントに戻ろうとした時だった。




「願い…叶えて欲しい?」




どこからともなく声が聞こえた。

女の子の優しい声。



イールは迷わず頷いた。




「お願い、僕をこの戦争から抜け出させて。」









人さらいにあって、気が付けば銃を持たされて戦場に立っていた。




イールは人を殺した。

生き延びる為に、たくさん殺した。

銃がタタンタタンと鳴る度に、人が血を噴いて倒れていく。



友達のサーシャは、地雷を踏んで吹っ飛んだ。



食事は2日に1回。

貰えるのは、固くて味のない、よく分からない食べ物。




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