If not...
もう嫌なのだ。
ここから抜け出したい。
そして、両親に会う。
ぎゅっと抱きしめられて、涙を流す。
たくさん料理が並んだテーブルに掛けて、家族揃って温かい食事を…
イールの願いは尽きないが、“イマ”から抜け出すことさえできれば、全ての願いが叶う筈だ。
女の子の声は続けた。
「あなたが望む願いは1つだけ?」
イールは、幾つかの願いが頭に浮かんだ。
「違うでしょ?」
イールが首を振る前に、声が言った。
驚きながらも、イールはコクリと頷いた。
「言ってみて?それも叶えてあげる。」
優しい女の子の声。
誘われるように、イールは遠慮がちに話し出した。
「家族に会いたい。それと…戦争なんか、もう止めにして欲しい。平和な世界がいい。」
家族と友達のサーシャの事が真っ先に浮かんだ。
それ故の答だった。