思い出になる前に
あたしは黙ってジッと舟木先輩を見る。
「……で、君は?」
「東、久美」
「久美ちゃんね」
男って暑苦しくて
チャラくてうるさくて
けど、舟木先輩は
どっちかっていうと可愛い感じで爽やか。
先輩はジッとあたしを見下ろす。
「なんですか?」
なんで話し掛けられたんだろ?
「あ…いや…よ、よろしくね」
ニコッと笑って手を差し出す。
「え……?」
握手?
いまどき?
「先輩ってなんか変ですね」
ふふっと笑って手を出す。
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