【短編】いらない人間のころし方【MENS企画】



★ ★ ★


「今日は私のワガママに付き合ってくれてありがとう」


七千がそんな事を言ったのは買い物からの帰路の事。


既に辺りは夕日の赤が空に広がって、更にはビロードの闇が今日を終わらせようと地平線から赤を浸食し始めている。


そんな時分。


「別に。私も洋服買ってもらえましたし」


私達は両手に紙袋を下げ並んで歩いていく。


「安物だけどね。そんなので喜んでくれるなら、私も嬉しいわ」


七千はニコリとした笑顔を私に向ける。本当に子供みたいなそれ。


イライラするね。


「あ。そう言えば今日の晩御飯、どうしようか?」


「なんでもいいですか?」


「おーるおっけーよ」


「じゃあ、私。おでんがいいです」


「おでん。…確か家に大体の具材あったわね。じゃあ今日はおでんにしましょ」


どうも、ありがとう。


私は、そう小さくそう返した。


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