【短編】いらない人間のころし方【MENS企画】
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「今日は私のワガママに付き合ってくれてありがとう」
七千がそんな事を言ったのは買い物からの帰路の事。
既に辺りは夕日の赤が空に広がって、更にはビロードの闇が今日を終わらせようと地平線から赤を浸食し始めている。
そんな時分。
「別に。私も洋服買ってもらえましたし」
私達は両手に紙袋を下げ並んで歩いていく。
「安物だけどね。そんなので喜んでくれるなら、私も嬉しいわ」
七千はニコリとした笑顔を私に向ける。本当に子供みたいなそれ。
イライラするね。
「あ。そう言えば今日の晩御飯、どうしようか?」
「なんでもいいですか?」
「おーるおっけーよ」
「じゃあ、私。おでんがいいです」
「おでん。…確か家に大体の具材あったわね。じゃあ今日はおでんにしましょ」
どうも、ありがとう。
私は、そう小さくそう返した。