【短編】いらない人間のころし方【MENS企画】
おでんが盛られたお椀が手渡され、それを両手で受け取る。
「さ。じゃあ、先に食べちゃおうか?」
七千は自分の分も盛り、合掌をしてから「いただきます」と、逐一動作が子供っぽい。
私も箸を持ち、
「いただきます」
「…食べないの?」
静かだったリビングに、抑揚のない七千の声が響いた。
見れば七千はいつもと変わらない。
夕方と変わらないニコニコとした笑みを湛えている。
けれど、違う。全く、違う。明らかに異質。
「……七千さんは、食べないんですか?」
言葉が、後ずさる。
「私はホラ。白ちゃんの美味しそうな顔見てからじゃないと」
首を僅かに傾げる。子供みたいな動作が今はどこか私をバカにしてるように思えてならない。
まさか、気付かれてるの?
そんなはずは…。
「どうしたの白ちゃん?」
「いえ、別に」
「もしかしてぇ」