【短編】いらない人間のころし方【MENS企画】



視界が淀む。


それに意識が飛びそうになる。


「ごめんね、白ちゃん。あなたがおでんに睡眠薬を入れたように私もお茶に睡眠薬入れちゃった★」


テヘッ★


「あれ?どうしたの?白ちゃん。信じられないみたいな顔してるけど」


頭がクラクラする。私は自重を支えきれなくなりテーブルに勢いよく突っ伏した。


弾き飛ぶ、おでんの入ったお椀。


伸ばしきった腕に熱い汁が掛かる。


けれど痛みは感じない。


「白ちゃん。あなたのお父さんを独り占めしたかったのは何もあなただけじゃないの」


私の視界の中。歪む七千が立ち上がり私に近づき、おもむろに私の頭を撫で始める。


とても、優しく。


「サヨナラ、白ちゃん」


霞む視界。まぶたが重い。


あぁ。ちくしょう。


……結局、いらない人間は私の方だった訳か。


それから、私の意識は泥のような闇へと落ちていった。


多分。目覚める事は二度とないだろう。


★ ★ ★


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