【短編】いらない人間のころし方【MENS企画】
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リビング奥の障子が静かに開く。
その奥。斜に掛かる灯りがその姿を半分に晒す。
「終わったかい?」
「……えぇ」
七千はその男。白山に、子供みたいといつも言われる笑顔を向けた。
「でも、よかったんですか?」
「何がだい?」
白山は、白に近づき一度愛でるように頭を撫で。
それから彼は白の腕に注射器の針を突き刺した。
中身は空。つまりは空気。
死因は心臓発作。
彼は小さく笑い、くるりときびすを返し七千に向く。
「これで、私だけを。見て、くれますよね?」
男は何も言わずそっと七千を抱きしめる。
七千も男を抱きしめ、その胸に顔をうずめた。
彼の中に他の人間はいらない。
彼の中には私だけで、十分。
他は、何も。
ー了ー