【短編】いらない人間のころし方【MENS企画】



★ ★ ★


リビング奥の障子が静かに開く。


その奥。斜に掛かる灯りがその姿を半分に晒す。


「終わったかい?」


「……えぇ」


七千はその男。白山に、子供みたいといつも言われる笑顔を向けた。


「でも、よかったんですか?」


「何がだい?」


白山は、白に近づき一度愛でるように頭を撫で。


それから彼は白の腕に注射器の針を突き刺した。


中身は空。つまりは空気。


死因は心臓発作。


彼は小さく笑い、くるりときびすを返し七千に向く。


「これで、私だけを。見て、くれますよね?」


男は何も言わずそっと七千を抱きしめる。


七千も男を抱きしめ、その胸に顔をうずめた。


彼の中に他の人間はいらない。


彼の中には私だけで、十分。


他は、何も。





ー了ー



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