【短編】いらない人間のころし方【MENS企画】
まだ2ヶ月。もしくは、もう2ヶ月が経った。
そんな微妙な月日の流れの中、周囲を彩る季節感はすでに入れ替わりを果たしている。
秋の紅葉はすでに昔、木には雪が積もり霜が降りる季節となっていた。
まぁ早い話、冬です。更に言うなら師走。
もっと言うなら年の瀬を間近に控えた12月の中旬。
父が連れてきた『七千 七(ななせ なな)』と言う女性に初めて出会ったのがそんな時期だった。
「はじめまして、白ちゃん。これからよろしくね」
肩まである艶やかな黒髪。
表情は穏やかで、第一印象は『綺麗な人』。
年齢は父より幾つも若いよう思えるその人は私に握手を求めてきた。
だが残念。
思春期の最中にある私はその握手を無視してみせた。
当然の事ながら父の叱責を浴びはしたが気にはしなかった。