【短編】いらない人間のころし方【MENS企画】
さて。事の始まりはそんな所から。
ある日の事。
私が学校から家に帰ると、その日もやはり彼女はいた。
七千。
父が私に彼女を紹介してからというもの、毎日のように。
まるでここが自分の家であるみたいに。
「あら、お帰りなさい。今日も早いのね」
さして広くもない台所に彼女はいた。
コンロには鍋。鍋は煮立ち蓋をカタカタと鳴らしている。
香るのは昆布だしの匂い。お腹の空く匂いである。
「今日は煮物を作ってみたの。白ちゃん、好きでしょ?」
そんな事を言った覚えなど微塵もないんだけど。
とりあえず首を縦にグワングワン振って『是』を投げつけた。
「…そ、そう?あは。あはは…。楽しみにしててね」
やや引きつった表情なのは何故だろう。まぁいいや。
「あぁ、そういえば白ちゃん。私とお父さんね結婚することにしたの」
「…………は?」