【短編】いらない人間のころし方【MENS企画】
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正直な所、私はなかなかに薄情な人間であると自己評価する。
なぜかと問われればその理由はただ一つ。
母の死。
それを聞かされた時。
ついでに葬式の際も、私の心の中に悲しみなんて感情は一片たりとも芽生えることはなく。
少なくとも自覚する事はなかった。
唯一の感情はただ喜び。喜悦だけ。
邪魔な人間が消えた。
ヒエラルキーの中にいる人間は、私一人になったのだ。
父。
お父さんの中のヒエラルキーは、これからは私で満たされていく。
そう思っていた。
私のいつから芽生えたのかもしらない、理由もわからない。淡い父への恋心。
障害なんてもうないものだと思ってた。
彼女が現れるまで。
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