【短】ラストからスタートするラブ
3スタート
「真希!お待たせっ」


「5分遅刻だよーっ」


二人の間を吹き抜ける風も、少しずつ春に近付いているようだった。

まだまだ”暖かい”とは言えないけど、確実に進んでいる。


「俺らこれから一生一緒にいるんだから、5分なんか一瞬じゃん」


ニッていたずらに笑った彼に、あたしは顔を真っ赤に染める。


「言わないと後悔すること知ったから。俺、これからドンドン伝えるからな」


優しい笑顔にあたしも笑い返した。

バカみたいにお互い悩んで、すっごく遠回りしたけど、その分前へ進んだよね?


「一生一緒にいるのは当たり前だけど、それでもあたしは、もう5分も無駄にしたくないの!」


「……っ!?はは!よし、行くかっ」


ギュッと握られた右手から伝わってくる温もりを、ずっと大切にしたいと思うの。


本当の恋はまだ、今始まったばかり。

風に乗って、あたし達はどこまででも行けるよね。




おわり




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