あーるぴーじー
「――近頃、町の外で魔物達が活発に動き回っていることは知っているな?」
「あー…なんか大人達が話してんの聞いた事はあるかも」
「聞いた事はって、見た事はないのか?」
「…そこ、突っ込まないで……。オレ、町の外に出た事ないんだから!この狭い世界で17年間俺は生きてきたの!!なんか文句ある!?」
「いや…特にないが、泣かなくてもいいんじゃないか…?」
「泣いてなんかな…っ……くはない!なんか悲しくなっちゃったの!!それと、ちょっとぐらい文句あってほしかった!!もういいよ、はい次!!」
オレは全力で涙を拭った。
「――それが、魔王の影響なのだ。魔王は近頃人類を絶滅させる作戦を立て、魔物に指示を出しているのだ」
「ちょっといいか。魔王は強いんだろ?魔物の王ってことだもんな…。自分がやれば絶滅なんてあっという間だろうに、何で魔物に指示出してんだ?」
「めんどくさい、尚且つ自分の手を汚したくないからだ」
「最悪!魔王最悪!まるでイジメを見て笑ってるいじめっ子のリーダーみたい!さすが魔王!!」
「その例えはどうかと思うが、まあ正しいと言えば正しいな。…そして、次はお前が勇者に選ばれた理由だが」
「お、おお…!………なんか緊張すんな!!小さい時から薄々分かってたけど、やっぱオレって特別なんだな!!」
オレはゴクッと生唾を飲み込む。