あーるぴーじー
「くじ引きで決まったのだ」
「……え?もう一回言って?」
「だから、くじ引きだ。適当にお前が住む町の子供の名前を書いた紙を箱に放り込んで、引いたらお前だったわけだ。悪い。特に、お前にこだわったわけではない」
「……………うそ?」
「うそではない」
「………でもさ、子供達の中でオレが選ばれたってことは、やっぱそーゆう…なんつーか……もともと勇者の運命だったんだな!うん!オレやっぱ特別!!すごい!!」
「この町の子供10人のうち、15歳以下は入れなかったから3分の1の確率なわけだが」
「え!?ちょ……!!」
「ま、そういうわけだ。運命だとか特別だとかは一切ない」
「で、でも3分の1でも…!選ばれたならやっぱ…とく…べつな運………………はぁ。うん、もういいよ。疲れた。オレ、やる気なくした。いいよもう、ほかの人勇者で。オレもうやーめた」
「そうか。というわけだから、起きたら早速旅に出ろ」
「ちょ!!聞いてた?ねえ!?オレの話!!」
「長老やお前の両親には、私から話をつけておく。そういうわけだから、いい加減起きろ」
「ちょ…!ふざけんなあああああ!!」
――と、叫んだ自分の声で目が覚めた。