大切な人
『あんたさえいなければ!!』


多分彼女はそう言った


オサムが好きなんだなってすぐにわかった


でも


叩かれる理由なんてない


彼女が叫んだ声で部屋の中からバタバタと足音がするから


多分オサムが出てくる


だけど私は許せなくて


彼女の頬を思い切り叩きかえした


『何すんの!?』


『それはこっちが言いたいよ
あんたこそ何?』


叩きかえされると思ってなかったのか


彼女は驚いて頬をおさえる


『香月、何してる?』


そんな彼女の後ろからオサムの声がした


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