大切な人
悔しくて涙が出た


そんな顔で講義に行く訳にもいかなくて


大学の校舎から出てとぼとぼ歩く


『アヤちゃん?』


この優しい声はきっとマサヤさん


『どうした?』


『………』


涙が止まらなくて俯いたままの私に


「ここだと目立つよ」と言ったマサヤさんは


私の腕をひいて大学の空き教室に連れて行ってくれた


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