大切な人
『……オサムの事?……だよね』


しばらく黙ってたマサヤさんが口を開く


涙が止まった私は小さく頷いた


『俺の知ってるオサムはアヤちゃんが泣くような事はしないと思うんだけどな……』


『……香月って人が』


『香月?あいつと何かあった?』


私の言葉に少し心配そうな声に変わったマサヤさんにさっきの話しをする


私の話しを聞いたマサヤさんは


「オサムはアヤちゃんだけだから心配いらない」って言ってくれたけど


私の気持ちは全然軽くなんてならなかった


『ホールでなんか飲む?』


『え?でもマサヤさん講義は……』


そう言いながら時計を見たらもう始まって40
分以上経ってた


『俺もともと遅刻だったから気にしないで』


そう言ってマサヤさんが笑ったけど


申し訳ない気持ちになってホールで私がご馳走しようって思ってたら


教室のドアが大きな音をたてながら開いた



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