王子様はご主人様!?


「あの―…」



近づいて遠慮気味に話しかけた



するとハッとしたように、振り向いた女の子



あっ…この子……



「わざわざお呼びしてすみません…」



なんで……この子が……



胸がドクドクと脈立つ



「あたし、隣の女子校に通ってる橘綾香と言います」


やっぱり……


輝の彼女………



前に輝とデートをしてるところを見かけたことはあるけど、こんな間近で見るのは初めて……


凄く綺麗な人……



「今日は突然来てしまってすみません」



「い、いえ……」


あたしはちゃんと橘さんを見れてる……?



今自分がどんな顔をしてるかわからないから、怖い……




「あの…これって宮澤さんの…ですよね?」



そう言って差し出されたのは……紛れもなくあたしが輝に貸したタオル



「あっ…はい。」



なんで…橘さんが……


「よかったぁ〜。間違ってなくて。」



柔らかい笑顔



「っ………」



そんな笑顔の橘さんに対して、目の前がクラクラしているあたし




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