王子様はご主人様!?


そう、俺が連れてきたのは築40年のうちのボロアパート



信じられないような表情の花梨をまだ引っ張る


「えっ…!?ちょっと?!」


――ガチャ



「入って」



「えっ…でも…「いいから」



ドアを開け、半場無理やりにうちに押し込んだ



「そこ座って」


ソファーを指差した



「あっ、お邪魔します…」



諦めたのか、素直に応じる



「これが王子様の正体」



「………」



「母子家庭の普通の一般人。性格だって優しくもないし、お金持ちでもないし……王子様なんて程遠いんだよ…」



「…なんで……あたしにそんなこと教えたの…?」






「……好きだから」




「………え」



「花梨のこと、好きだから……。王子様でもない、ただの井之上輝として、お前に気持ちを伝えたかった」


「っ……」





< 139 / 348 >

この作品をシェア

pagetop