王子様はご主人様!?


――ガラッ


――ビクッ!



「あれ、輝は?」



開いたドアからヒョコと出てきたのは蒼依くん



「輝なら職員室に行ったよ?」



「え、そうなの―?」



久しぶりな会話にちょっと緊張―…



「花梨は輝待ち?」



「うぅん。このファイル片付けてて。」



机の上に置かれているファイルを見せた


「あっ、入っていい?」



「どうぞ。」



田辺料亭の跡取りにはとても見えないよな―…



なんかチャラいし。



「手伝うよ。」


「え?」



「ファイル整理。その量、一人じゃ大変じゃね?」



「あ、ありがと。」


でも、チャラいけどさりげなく優しい。



「つ―か話すの久しぶりだな。」


ファイルを整えながら、そう言った


「あっ、うん。前に話したのパーティーの時だったからね。」



「そうそう。花梨とは教室じゃめったに話さないからな」



「そうだね―…」


なんて、実はわざと話さないようにしてたんだよね。


輝と同じで人気がある蒼依くん。



つまり蒼依くんと話すと、蒼依ファンを敵に回すことになる



それが嫌で話しませんでした―……なんて、言えるわけないか。



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