王子様はご主人様!?


「……ん。そうだよね…。わかった。教室に居るね」


俺が何を思っているか、読み取ったような成田


そんな成田に「あぁ…」とだけ告げて、図書室に向かった



――コンコン


「…はい」



「2−Aの井之上です」


「おぉ、入れ」



――ガラッ


「失礼します」



頭を軽く下げて中に入る



「あぁ、プリントだな」


俺の手元に気づいたのか、手を出してきた



「ここに、サインが欲しいんですが…」



「あぁ、ここね」



加賀はいつもと変わらないな……


「唯…、泣いてたか?」


「は…?」



突然の質問に、正直戸惑った


「あの、それは…「さっき見てたんだろ?」



やっぱりこいつ苦手だ…



何でもお見通しって感じの目をしてやがる



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