王子様はご主人様!?
このままここに居たら、さらにイライラしそうだし…成田も待たせてる
だからと言って花梨を一人で帰らせるのは……
仕方ないから蒼依に頼んだ。
蒼依は信用してるからな。
してるけど……、一応釘をさして、教室に向かった
――ガラッ
「あっ…輝くん……」
少し赤みは引いたが、やっぱりまだ潤んでる瞳
「花梨は…?」
「蒼依が送って帰った。」
「そっか…」とだけ呟き、瞳を伏せた
「あたしさ、入学式の時に加賀先生に一目惚れしたの……」
「………」
「何度もアタックして、何度も振られて……。やっと彼女にしてもらえた」
ゆっくり話す成田に、何も言わず聞いていた
「でもやっぱり圭斗はあたしのこと子供扱いで…。好きなのはあたしばっかり…」
今にも涙が落ちそうになるのを必死に堪える
好きなのはあたしばっかり…か……
それはどうかな?
図書室を出る時に見た加賀の顔は好きなヤツを想ってないと見せない顔だと思うけど。
「んで、ケンカの原因は?」
何かあったに決まってる
「慰めたりしないわけ。」
ギロッとした目が向けられた
「慰めてほしいの?」
「残念ながら、親友の彼氏に慰められるほど、あたしも落ちちゃいないよ」
ふっ…、やっぱりな……
「それに慰めるとかの優しさって、花梨限定でしょ?」
「当たり前」
冷たいヤツなのかも知れないけど…花梨が一番だから。