王子様はご主人様!?
切ないキス-花梨Side-
「……眠れなかった」
少し腫れた目で鏡に写っている自分を見つめる
「……ブサイク」
ボソッとだけ呟き、制服に着替え始めた
昨日は結局、逃げるように家に帰って部屋に閉じ籠った
蒼依くんと帰る時は何とか平然を保てたものの、帰り着いたら考えることは輝と唯のこと…
“何で一緒に居たの?”
“あたしに話さないといけないって、一体何を?”
“輝の大事な用事って、唯と会うこと?”
考えれば考えるほど、悪い方向にしか考えが浮かばなくて……
そんな自分に呆れては落ち込んだ。
そんなままじゃ電話にも出れなくて、ずっと鳴り続ける輝からの電話にも出なかった
―――――――――……
……まだ2人とも来てないな…
つい輝と唯の2人の席を見てしまう
自分の席にバッグを置いて座り、深く息を吐く
「おはよ―♪」
――ドキッ
「お、おはよ…」
明るいいつもの笑顔で話しかけてくる唯